クリーニング業者の失敗によってトラブルが発生したとき、弁償してもらうことはできるのでしょうか。
本記事では、ダウンをクリーニングに出したときの弁償や失敗例について詳しく解説します。
ダウンのクリーニング失敗は弁償してもらえる?
結論から申し上げますと、ダウンのクリーニング失敗は「クリーニング事故賠償基準」によって弁償してもらえる可能性があります。
ただし、クリーニングに出したダウンに問題があった場合のすべてで損害賠償が請求できるわけではなく、しっかりとした条件が定められています。
また、損害賠償金額についても一律ではなく、特約の有無やダウン購入からの年月などによって変動するのです。
以下では、クリーニング事故賠償基準の概要や損害賠償金額の決定方法、特約の有無による違いなどについて詳しく解説します。
1.クリーニング事故賠償基準とは?
クリーニング事故賠償基準とは、クリーニング業者と顧客の間にトラブルが発生し、法律上で損害賠償責任を負うべき場合に公平かつ迅速にトラブルを解決するための基準です。
目的の詳細は以下の通りです。
”この賠償基準は、クリーニング業者が利用者から預かった洗たく物の処理または受取および引渡しの業務の遂行にあたり、職務上相当な注意を怠ったことに基づき法律上の損害賠償責任を負うべき場合に、大量のクレームを定型的に処理するための合理的基準を設定し、これにより公平かつ効率的にトラブルを解決するとともに、利用者の簡易迅速な救済を図ることを目的とする。”(出典:全国クリーニング生活衛生同業組合連合会「クリーニング事故賠償基準(運用マニュアル)」)
「クリーニング事故賠償基準」は、昭和43年に学識経験者・各消費者団体・弁護士・流通販売業者・繊維業界・保険業界・行政機関・クリーニング業界の各代表者によって制定されました。
その後、全国クリーニング生活衛生同業組合連合会の諮問機関であるクリーニング賠償問題協議会は、厚生労働省の平成26年度生活衛生関係営業対策事業費補助金を活用して、「クリーニング事故賠償基準」の第4次改訂を実施し、平成27年度改訂版を発行しました。
(参照:全国クリーニング生活衛生同業組合連合会)
2.クリーニング事故賠償基準の損害賠償額
クリーニング事故賠償基準で定められている損害賠償額は、クリーニングに出したダウンの購入からの年月やクリーニング業者の過失内容によって大きく変わります。
また、形見やビンテージ、限定品など、値段が付けられない(変動する)ダウンに関しては特例で損害賠償金額が決定されることもあります。
損害賠償金額については、全国クリーニング生活衛生同業組合連合会が発表している「クリーニング事故賠償基準(運用マニュアル)」から確認してみてください。
3.クリーニング業者と特約が結ばれている場合
クリーニングに出すとき、クリーニング業者との間に特約が結ばれている場合、「クリーニング事故賠償基準」ではなく特約が優先されます。
そのため、損害賠償金額などは「クリーニング事故賠償基準」ではなく、特約によって定められた金額になるため、あらかじめ特約について確認しておくことが大切です。
4.クリーニング業者の過失が認められないケース
クリーニング業者に過失があってダウンに問題がある場合であっても、以下のようなケースでクリーニング業者の過失は認められないため、損害賠償の必要がなくなります。
- ダウンを受け取るときに問題を指摘せずに証明書を受け取った
- クリーニング後のダウンを受け取ってから6ヶ月が経過した
- クリーニングを依頼してから1年が経過した
- 自然災害などによるトラブルが発生した
このような条件が定められているため、クリーニングしてもらったダウンを受け取るときに状態について確認することで、トラブルを防ぐことができます。
クリーニング業者による失敗例
クリーニング業者による失敗例は以下の通りです。
- 色落ちした
- 破れができた
- 紛失された
それぞれの失敗例について、以下で詳しく解説します。
1.色落ちした
色落ちしやすいダウンをクリーニングに出したとき、元の色が分からないくらい色落ちしてしまったという失敗例があります。
色落ちしやすいダウンをクリーニングに出す場合、色落ちしやすい旨を業者に伝え、クリーニング前の色を写真撮影しておくといいでしょう。
2.破れができた
クリーニングによって小さな穴や破れなどが生じることがあるため、デリケートな素材の場合についてもあらかじめ写真撮影しておくと安心です。
3.紛失された
クリーニングに出したダウンが稀に紛失してしまうことがあるため、クリーニングを依頼したことを証明する領収書やレシートは保管しておきましょう。
まとめ
本記事では、ダウンをクリーニングに出したときの弁償や失敗例について詳しく解説しました。
クリーニング業者も責任を持って依頼を受けているため、損害賠償が発生するケースは多くはありませんが、実際に消費者センターにはクリーニング業者とのトラブルの報告が寄せられています。
そのため、トラブルを大事にしないように、対策を取ることが大切です。
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